バイク模型を作る際にまず気になるのがフレームです。 特にメタル・キットの場合(さほど多くは知りませんが)、歪んでいないもの、左右がきちんと合うものなどは皆無ではないかと 思います。 フレームが歪んでいては全体の形状がまともに仕上がるはずがありませんので、私の場合はかなりの時間をかけて修正します。 そんなことで、ここでは主にメタルキットのフレーム修正や製作についてお話しします。 ハウ・トゥとまで言えるかどうかわかりませんし、今のよくできたプラモデルではこんな苦労もないでしょうが、一つの参考と して、ご覧ください。 |
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TOOL
特に変った道具は使用していません。 AのノギスやGのバイスなど。 Fのカッターはいつも刃だけを持って使用しています。 Iは家に古くからあるハンダ鏝。 Jはかなり荒めの鉄ヤスリで、シンチュウパイプの端を 大まかに削る時に使用しています。 Cはフレーム製作に使用する真鍮パイプで、 長いパイプは3mmと1.6mm。 5本の短いパイプは 上から1.4mm、1.2mm、0.8mm、0.6mm、0.4mmです。 もっとありましたが、今見つけたのは、このくらいです。 |
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グンゼ ホンダ CR110のケース グンゼのCR110の場合はキットのものを修正するのではなく、真鍮パイプでフレームを自作しました。 キットのものは、全体的にフレームが太すぎますし、歪みがあるのはもちろん、エンジン・ステーが2箇所省略されていたこともあり、 修正に手間をかけるよりは、真鍮パイプで最初から作ってしまうほうが結局は早いと思ったわけです。 真鍮パイプは様々な径のもの(0.6〜2.5mm程度)を用意し、大元になるパイプを小さな万力で固定し、他のパイプはラジオペンチで 持って、ちょいちょいとつけていきます。 |
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難しいのは、パイプを凹ませない様に曲げることと、カーヴ したパイプを他のフレーム部分にハンダづけすることです。 パイプを斜めにカットし、さらに組み合わせる相手側のパイプ の径に合わせて削ります。 ピッタリと合わなくてもハンダづけの際にごまかせますが、 失敗を繰り返すと大変! 真鍮パイプが熱を帯び、前に接合 した部分のハンダが溶け出してきます。 あまり考えずに、サッとハンダを滑らせるように一発でつける のがベストのようです。(既にハンダ付けした個所は水につけ たり、濡らしたティッシュで包んだりして温度を下げると よいようです。 苦労はしましたが、キットのものと比べるとその出来あがり の雰囲気は最高です。 ただ、塗装を終えてみると、一回りずつ径の小さなものを使用 したほうがよかったように思います。 キットのフレームは自作6角ボルトに化けてしまいましたので、 比較写真が撮れませんでした。申し訳ない。 余談 CR110のフォーク組立作業ではブリッジを半田付けの途中で 溶かしてしまいました。それをハンダ盛りして修復しようと しましたが、結局オリジナルのブリッジは熱で溶けて形がなく なり完全に消滅! 仕方なく、真鍮パイプの輪切りに何回もハンダ盛りをして新しい ブリッジ部品を作りました。 輪切り真鍮パイプ2つにハンダを盛ってブリッジを再生させた、 というわけです。 |
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グンゼ メグロZ7のケース
メグロの場合はCR110ほど歪みもなかったことと、 リアフェンダーを取り付ける幅広いプレスのブラケットを 自作することは私には不可能なため、 キットのものを修正することにしました。 歪んだ部分の修正をする時には、ホワイトメタルを お湯などで温めると柔らかくなり、手で曲げても折れたりせずに 加工することができます。 私はドライヤーを使用しました。 修正具合の調整には、右の写真(これはManxのフレーム) のように真鍮線を何本も刺し、 その平行度合いから左右上下のバランスを見ていきます。 正面から見て、特にフロントフォークを支える部分が 地面に対して垂直かどうかなどを 下左写真のように確認します。 フォークの左右に平行を保たせながら、キャスター角が 狂わないように、さらにそれらがフレームの垂線と合うように 取りつけなければなりません。 タイヤの軸が左右のフォークを直角に貫くようにするのも 言うまでもありません。CR110で失敗した経験を活かし、 フォークとブリッジのハンダ付けする時は、1発で付けました。 2度と味わいたくない苦労でしたから。 |
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メグロの場合もエンジン取り付けステーが省略されていました。(まだ取っていませんが、余分な穴もいくつか開いています。) ただ、CRほど省略部分が気になるわけではないことと、エンジン下部の取り付け部分がどうなっているのかわからなかったため、 エンジン前方のみ実車のように加工しました。もちろんエンジン側にも取り付け部分を自作します。 これも真鍮パイプをハンダづけしました。(上のCR110のエンジン写真を参照してください。クランクケースの横のパイプと、 シリンダーヘッドの右上のパイプです) 省略されていると言えば、両キットともマフラーを吊るすステーもありません。CRでは、マフラー・ブラケットを自作しました。 メグロは穴を開ければよいだけです。 マフラー側のステーも自作しますが、ハンダ付けの失敗が怖くてゼリー状瞬間接着剤を使用しました。結構強度があるものです。 ビッグ6 AJS 7Rのケース いま取り掛かっているAJS 7Rの場合は、ここではちょっとお話し出来ないほど苦労しました。 全体のデッサンが大幅に狂っていたため、フレームだけを修正すればよいという次元を超えており、想像を絶する作業でした。 メタルキットは、メーカーを選ばないととんでもないことになりますので、ご用心です。 |
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プロター ノートン・マンクスのケース メタルキットだけではなく、プラモデルでも修正が必要な 場合があります。 プロターのマンクス・レーサーの場合は、全体の形状には 全く問題はないのですが、オイルタンクの丁度上にフレーム の横棒が来てしまっています。これではタンクのキャップが 開きません。 また成型時の金型のずれも目立ち、パイプが歪んでいました ので、目立つフレーム前方の部分、そしてオイルタンク上部の フレームをアルミパイプで置き換えることにしました。 横棒は左右のフレームに穴を開けて留めるだけですが、前方 部分のフレームは強度も必要とされるため、嵌め込み加工を しました。 置き換える部分より長めにフレームを切り取り、切り取った 周辺をアルミパイプの内径に合う径まで削ります。 そこにアルミパイプをはめ込むようにするわけです。 よく見ると置き換えたフレームが他の部分より若干太いのが 分かりますが、キットのズレたフレームよりきれいなパイプ 状になりましたので、よいと思います。 |
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